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人類の歴史

デジタル×ファッション 二進法からアンリアレイジ、ソマルタまで

ANREALAGE(アンリアレイジ)

森永邦彦ほど言葉を大切にするデザイナーを他に知らない。毎回のコレクションのタイトルがそれを如実に語っている。
デジタルとは連続しないものを数値化、記号化すること。所謂サンプリングと理解している。一般には言葉は文字に記号化されるが、森永は言葉をファッションという記号に置き換えており、その分野の達人である。特に2009S/Sの「○△□」以降のコレクションは、ダイレクト且つ絶対的で、見事なまでのサンプリングがなされている。当然その実現には大変な時間や労力が費やされ、彼は妥協のない知識と好奇心を使って、新しいテクノロジーや評価されなかった技術、類なき手業などを探し出し、それを自分の世界観の中に吸収し、翻訳し、
新たな驚きとして世に問うのである。PC以降の最新デジタル技術の積極的なアプローチとも併せ、デジタル×ファッションの一方の旗手であることに疑いはない。
本展は、現時点における森永邦彦(アンリアレイジ)ワールドの全貌を知る貴重な機会ではあるが、同時にそれも通過点に過ぎない。

デジタル×ファッション 二進法からアンリアレイジ、ソマルタまで

SOMARTA(ソマルタ)

廣川玉枝は徹底的に美しさを意識するデザイナーだと思う。マドンナやレディー・ガガが着用したことでも知られている“Skin”。彼女の美意識の結晶体ともいえるこのプロダクトは、高度で複雑な技術を結集させて創造された。“Skin”シリーズ以降も彼女が制作するものには、最先端のデジタル技術や機械、道具のほか、それと対比される世界中の歴史的手業、特に日本の伝統的な技術が用いられている。現在入手できる全てのテクノロジーから選択された何かの業が使われ、いつの時も創作の為のエンジンとなっている。道具、技術の改善は、作品の手助けとなり、絶えず新しい技術の可能性を探り続ける。本展では、デジタル技術を駆使した作品を多く展示する。初めて公開される3Dプリンターで制作された等身大の身体“Asura”やヤマハ発動機とのコラボ作品“Taurs”など、ドレス以外の作品にも、廣川が目指した追従を許さない孤高の美が存在する。デジタル×ファッションの一方の旗手であることに疑いはない。
本展は、現時点における廣川玉枝(ソマルタ)ワールドの全貌を知る貴重な機会ではあるが、同時にそれも通過点に過ぎない。

 

デジタル×ファッション 2進法からアンリアレイジ、ソマルタまで」の開催に当たり、カタログとコーナー紹介用に2つの文章を書いた。本展は人類(ホモサピエンス)の20万年の歴史までは遡れないが、文明が生まれた1万年前には生まれていたであろうデジタル・ファッション技術が2015年夏現代どうなっているかという物語です。そのダブルメインキャストは、森永邦彦と廣川玉枝以外考えたこともありませんでした。展覧会はオープンした現在では、この文章を書いた時より更に、そして日に日に2人の作品への執着が強くなってきています。
森永さんは、ファッションデザイナーとしての階段を本当に確実に、且つ強力に登っていることが実感できました。廣川さんは、展覧会をご覧になった方は理解していただけると思いますが、ファッションという枠を遥かに超え、人の営みの全てに美意識を発揮していると思います。デジタル・ファッションというやや謎めいた言葉を中心に構築された展覧会ですが、実は人の文化の歴史そのものの考察です。自分史作りに是非参加ください。

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