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【レポート】第1回産地バスツアー~播州・コットン編~

先日、2015年度春期服飾文化セミナー第1回産地バスツアー~播州・コットン編~が終了いたしました。

産地ガイドには、先ほど講座でも講師をつとめていただいたSecori Galleryの宮浦晋哉氏をお迎えし、西脇市内計5 か所、綿花を育てる畑から加工場まで「播州織布ができるまで」を見学する充実の内容でした。

今回は、多数お申込みを頂いた中から、講座も受講いただいた方を優先的に抽選で20名にご参加いただきました。

当日の様子を写真とともににご紹介いたします!

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「西脇は綿の先染め織物の一大産地として成長し、シャツ生地やストールの名産地です~」と宮浦さん。神戸市内からバスで約1時間半で、西脇に到着しました~

 

【1軒目】播磨染工株式会社様

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まず始めに訪れたのが、綿や合繊糸を染める工場で創業昭和44年の播磨染工株式会社様。染色用の窯がズラッと並び、工場内は湿気が高く体感温度はかなり高く感じます。

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「これがチーズと呼ばれ、糸をプラスチックボビンに巻きつけ、ボビンから染料がにじみ出て糸を染め上げます。」と数原社長。こちらの工場では、長い糸一本を枷にしたソフト・チーズ巻を使用した「チーズ染」と長さを揃えた数百本の糸を一気に染める「ビーム染め」をされています。

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染められる色数は、なんと10万色パターン!

一日2000トン使用する水は、川と井戸の両方から引っ張ってこられるそうで、この地に恵まれた軟水がきれいな発色の理由だと、数原社長はおっしゃっていました。現在では、西脇内の染工所が減る一方で現在8か所が残っているということも最後に伺いました。

一件目の工場見学を終え、暑さと衝撃を抱えたままバスに乗り込み、
バスがぎりぎり通れるあぜ道を渡ったところに・・・・
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【2軒目】小円織物有限会社様

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「機屋さんは家内制手工業が多いんです。」と29歳の若社長、小林一光さん。3世代にわたり播州織に携わられています。工場の敷地内にぎりぎりバスを停めることができ、機屋さんの工場内は、織機の音で声が聞こえないということで、入口外でご挨拶いただきました。

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こちらは国内唯一、高速織機を使ったよろけ織を織られる工場です。ここで織られた布地は、ships、イトーヨーカドーなどに卸されています。

参加者から「お若いけどどういう思いで仕事されるか?」という質問に、「ただ残したい。残せるのは自分だけです。」という小林さんのまっすぐな言葉が胸にささる一同でした。

【3軒目】コットンハウスで昼食!

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朝早くから活動していたので、お腹ペコペコ状態。

古民家を改装して使われているコットンハウスで、ファクトリーブランドhatsutokiの村田さん、小野さんがお手製「11種のスパイスと播州百日鶏のカレー」を振る舞ってくださり、皆さんお替りして美味しくいただきました。

 

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さて、お腹がいっぱいになった後は、歩いて5分ほどで小野さんたちが育てる綿畑を見学に。5月に丁度種まきを終えたところで、少し芽が!年々面積を増大している綿畑は、「子供も遊べるようなコットンの迷路にしたい!」そうで、なんと夢のある話なんでしょう!

 

【4件目】播州織工業協同組合様

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午後一番、伺ったのは、機屋さんが協同出資で運営される加工場です。機屋で織られた生地を加工します。検品し、毛焼き・糊抜きマーセライズ加工→レジン加工→サンフォライズ加工→特殊風合加工→加工後検査→包装、そしてお店へと手渡されます。

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ものすごいスピードで布を繰って検品をする工員さん。

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毛焼きをして布表面をきれいにする工程。

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一般の人の目では決してわかりえない細かい傷なども見つける検品作業。

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最後の梱包を経て、お店へ

 

【5軒目】遠孫織布株式会社様

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ツアーの大詰めは、遠藤由貴さんと奥様お二人で工場を切り盛りされる今回二件目の機屋さんです。
昭和20年代創業で、薄手の生地はもちろん、ジャカード織機を使用した、立体感あふれる生地づくりを得意とされます。

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「うちは商品づくりはせず、徹底的に布づくりに徹しています。」と、職人の想いを語ってくださった遠藤さん。受注生産だけでなく、自ら生地の企画・開発をされたり、デザイナーの意見をきき協同で企画にも取り組まれています。

パンチカードのジャカード織機がところせましと設置され動いている様は外観からでは想像もできないものづくりの現場の迫力がありました。

 

【6件目】島田製織株式会社様

最後は、今回このツアーを組んでくださり抜きにしては語れない島田製織さんに伺いました。
産元会社として、テキスタイルデザインや商品の企画をされるところ。
こちらでは、今まで制作してこられた生地を拝見し、西脇で働かれる小野さんや村田さんへの質問タイムも。

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予定になかったのですが、倉庫では生地の販売も!驚いたのが、参加者の皆さんが生地をみて「シャツをつくる」「ワンピースをつくりたい」と購入されていたことです。さすが、ツアーに参加されるだけあって皆さん衣服を作られる意識の高い方が多かったようです。

朝9時に出発しあっというまで全て終了したころには17時半。
西脇を満喫した一行でした!

 

~第1回目産地ツアーを終えて~

糸染めから織、加工へと一か所の産地内で生産工程が全て完了する産地は全国見渡しても珍しいといいます。1792年江戸のころに京都西陣から織機を導入したことをきっかけに農家の副業として始まった織の歴史ある播州織ですが1980年代をピークに今では工場数も約10分の1に激減しています。しかし、生地職人の血を受け継いだ二代目三代目の世代が、今、工場を動かしながら真摯にものづくりに取り組まれる様や、島田製織hatsutokiさんのように地元の若者が出戻ったり、東京からデザイナーが移住して工場と密に取り組みながら新風を吹き込んだ商品づくりに取り組まれる形は、日本のファッション産業を支える現場=「ファッションの産地」とも言え、日本のものづくりの可能性を存分に感じることができます。

西脇から今後どんなものづくりが生まれていくのか。
日々衣服を消費する一人として、楽しみで仕方がありません。

こんな機会を可能にしてくださったのは、日々現場と密に良好な関係をそれぞれの立場で築かれている小野さん、宮浦さん、受け入れてくださった西脇産地の皆さんです。感謝してもしきれません。宮浦さんの言葉を借りると、「工場さんが許してくださる限り」このような機会を設けることが、間接的ではありますが日本のものづくり、ひいては「ファッションの産地」を美術館が微力ながら支える一助になるのでは、と考えています。

次なる産地はどんな産地?
脳と体が嬉しい疲れでいっぱいのバスで、西脇のものづくりのことと次なる産地へ思いをはせつつ帰路についたのでした。

 

文:.nj

つぎは、第2回講座と泉州へのバスツアーへとつづきます!
バスツアーはすでに抽選になりますが、まだまだ受付中◎◎

今後の予定は下記のとおり↓↓↓

■第2回 講座 「日本製ニットの未来とニットの可能性」
日時:6月21日(土) 14:00-15:30(開場13:30) ※要申込/先着順

■第2回 ツアー 「産地バスツアー~泉州・ウール編~」
日時:7月17日(金) 9:00-17:30(時間予定、神戸ファッション美術館 発着) ※要申込/応募者多数の場合は抽選

※ツアーは現段階で抽選となっております。講座を受講いただいた方を優先させていただきますのでご了承ください。

 

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