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“Museum”の果たす役割とは?

年が明けて、バタバタしているうちに今年も早くも4週間経ってしまいました。
去年は本読みをサボりにサボってしまい、部屋の未読本が随分な分量になっていて、半ば途方に暮れながらも、目の前の一冊一冊から手にとってカバンに押し込む日々。
そんな中、今日ご紹介する一冊は、『モバイルミュージアム 行動する博物館―21世紀の文化経済論―』(西野喜章著 平凡社)です。
著者の西野喜章さんは、大学博物館の草分けでもある、東京大学総合研究博物館の館長・教授です。
内容は、来館者の減少、保管維持経費の増大、運営スタッフの人件費不足などから苦境に立つ全国の博物館に、あらためて博物館の果たす役割としての「資料の保管(蓄積(ストック))」と「資料の活用(流動(フロー))」のバランスのとり方の重要性を説き、博物館への未来をもたらすための提案として、所蔵品の流動化や企業・学校との協働事業、海外施設との連携など、これまで東京大学総合研究博物館が5年以上にわたって取り組んできた事業モデルである「モバイルミュージアム」の成果を紹介しつつ、21世紀の博物館のあるべき姿を問いかけている。

設置者の別にかかわらず財政難にあえぐ博物館は多くなっています。それだけに一過性の外部資料を利用した集客事業よりも、所蔵品活用の一層の流動化や企業・学校・海外との互恵的連携関係の構築、館運営事業の多角化による、経済的な自立を目指しながら、博物館に求められる本来の役割を果たすための新たな方策を実例の紹介とともに提示している本書は “museum”のみならず、様々な事業運営のヒントが示されているようにも感じられました。
皆さんも一度、手にとられてはいかがでしょうか。

さて、神戸ファッション美術館では『型絵染 三代澤本寿』展を開催しております(~4月2日)。
みなさまのご来館、お待ちしております。

kiuri

『モバイルミュージアム 行動する博物館―21世紀の文化経済論―』(西野喜章著 平凡社 平成24年12月16日)
(目次)
はじめに
第一章 ミュージアムの現在 問題の所在/ミュージアムの三様態
第二章 「モバイルミュージアム」とは 従来の移動型博物館/「モバイルミュージアム」
第三章 ミュージアムの経済学 ミュージアムの「ロングテール」/イベント経営から「総事業価値」の増大へ/マスメディア依存からソーシャルメディア活用へ/公共財の活用における費用対効果の追求
第四章 進化・成長する展覧会 リカレント展示/展覧会のアルケオロジー/面白い教科書を目指せ
第五章 「モバイルミュージアム」の展示コンテンツ 博物館資料の流動化/モースの参照標本に学ぶ/展示ユニットの循環システム
第六章 「モバイルミュージアム」の実例 「オフィス・モバイル」──企業とのコラボレーション/「スクール・モバイル」──複合教育の現場/「海外モバイル」──展示コンテンツの再活用/グローバル・ネットワーク
おわりに──「モバイルミュージアム」から「インターメディアテク」へ

[補遺]学士会午餐会講演録 東京大学総合研究博物館の〈現在〉──大学の前衛として
あとがき

  • 2013/01/29 |
  • 08:00 |
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