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時代の節目をどう楽しむか?

暦が白露を過ぎてから、朝夕が随分と過ごしやすくなりました。

さて、本日ご紹介する本は『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないでしょうか?』(2012年7月7日 学芸出版社)です。

私たちが充実した暮らしを送り続けるためには、”右肩上がりの経済成長率”という物差しは、本当に必要なのだろうか。「個人の幸せ」を実感できる社会へと変化出来ないか? という問いに、日本全国各地の実状を知る地域エコノミスト 藻谷浩介さん(『デフレの正体-経済は「人口の波」で動く』 2010年6月10日角川書店)と、京都造形芸術大学の教員でコミュニティデザイナー 山崎亮さん(『コミュニティデザイン』2011年4月22日 学芸出版社)の間で、2011年7月12日に行われた対談をおさめたもの。

本書では、全体を通して、「お金を稼ぎ続けなければならない」というある種の脅迫観念からか、世の中全体が「鬱」になってしまっているんじゃないか。むしろ少しはストックがあるうちに、楽しいことや豊かな方向に使おう割り切ること。その先に日本が本当に成熟して豊かな文化国家になって、文化でお金を稼ぐステージに入れる」という藻谷さんの話や、また、山崎さんは儲けるという言葉を再定義したいと考え、「お金を儲ける」という文脈だけではなく、「友を儲ける」「子を儲ける」という意味でも使いたい、「僕たちはお金以外のものも儲けたい」といった視点や価値観の転換に触れられています。

失われた20年と言われながらも、このようなチャレンジができるのは、日本が経済成長という尺度でみても、戦後、大きな成果を得たからでもある。
本書は反経済成長の本ではなく、むしろ過去の経済成長の果実をいかに美味しく味わうかを読む者に問いかけているように感じられます。
是非一度、手にとってご覧になってはいかがでしょうか?

現在開催中の『セレブの肖像 -ケヴィン・ウエステンバーグの視線』展も、残すところあと3週間となりました。
みなさまのご来館、お待ちしております。

kiuri

『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないでしょうか?』
藻谷浩介・山崎 亮 著 学芸出版社 2012年7月7日刊
【目 次】
まえがき──藻谷浩介
プロローグ 地域経済の専門家に聞いてみたかったこと
なぜ、それが気になるのか
鹿児島で出会った人たちはノリが良い
島根県海士町の人たちは楽しそうだ
家島の人たちの充実した暮らしぶり
1章 経済的指標と人びとの幸せとの関係を考えてみる
鹿児島のケーススタディ
老舗百貨店がコミュニティスペースを持つデパートに生まれ変わったいきさつ
マルヤガーデンズの考え方
なぜ、コミュニティデザイナー山崎亮がそこに呼ばれたのか
マルヤガーデンズが成り立つ絶妙な事情
ノリが良い町、悪い町
2章 経済成長率と実態が合っていないのではないか
一般的な印象と数字の違い
では、どんなストックがあれば豊かと言えるのか
マクロ経済学原理主義に気をつけよう
平均値だけで語ることの無意味さ
そもそもコミュニティデザインとはどこから出てきたのか
3章 「いつまでも成長し続けなければならない」ってホント?
あるポイントを過ぎれば、年収が伸びても豊かさの実感は伸びない
もし、経済成長至上主義者に怒られたら
地方自治体と交付税のからくり
税収を生む産業、生まない産業
税金システムの本当の受益者
「自立できない自治体は不合格」という意見について
4章 幸せは計るものではなく、実感するもの
金勘定上の損得は極論に行き着く
公共投資に頼らない生き方の選択
海士町がなぜ日本に必要なのか~島の幸福論~
「島留学」から見えること~経済成長ではなく個人が成長する可能性~
山奥のカフェから見えてくること
見えないストックでつくる新しい店
本当に日本はジリ貧になっているのか~数字で見る真実~
エピローグ
僕たちは時代の節目という面白い時を生きている 経済成長の、次のステージへ
質疑応答
少し長めのあとがき──経済成長と生活の豊かさについて考える 山崎亮
あとがきのあとがき──東京都青ヶ島村 藻谷浩介

  • 2012/09/11 |
  • 14:45 |
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