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ハワイ雑感 その2

前回の寄稿から1か月近く経ちました。常夏のハワイから極寒の神戸に帰ってきて、もはやハワイの記憶も遠い彼方に消えつつありますが、その消えつつある記憶を辿りながら、もう少しハワイについて書いてみます。

もともと私は表通りから二筋ほど入った路地を歩くのが好きです。表通りの華やかに着飾ったような喧噪から少し奥まった路地に入ると、途端に街は余所行きの顔を失って、生活臭の立ちのぼる場所になることも少なくないです。

かつて、六本木の現在の国立新美術館の向かい側にあたるところに神戸寮という宿泊施設がありました。市職員をはじめ神戸市に関連して働く人たちのための宿泊施設でしたが、震災後は廃止され、現在はマンションに建て変わっています。

当時、六本木の歓楽街で豪遊する甲斐性もない私は、仕事が終わると青山ブックセンターで文庫を買い、そそくさと宿へと向かうのが常でしたが、きらびやかで華やかでどこかいかがわしい夜の六本木の表通りを、客引きを横目に歩いていました。一晩明けて、六本木の駅へと向かう途中、ゆうべの喧騒とは打って変わって、朝日に照らされて隅々まで見えるようになった路地は、ゴミの袋が山と積まれ、そこかしこにビラやチラシや吸い殻が散乱して、くたびれた半醒半睡の表情です。そのぼんやりした街の雰囲気が、私には夜の顔よりも好ましかったのです。

今回の慌ただしいハワイの滞在期間のなかでは、あまり街や路地を歩き回る時間もなかったのですが、帰国前日に少し時間ができました。ハワイ大学からバスでワイキキまで行き、人から見てくるように薦められたロイヤルハワイアンセンターの靴屋をのぞいた後、アラモアナショッピングセンターまで炎天下を歩くことにしました。私はそういう時には、大まかに方向だけ定めたあと、地図を見ずに適当に歩き出します。そうするとほとんどの場合は道に迷います。これが面白いのです。この時も気がつけば、道がつきあたって、アパートが立ち並ぶ場所に入り込んでしまっていました。部屋の奥から何やらやりとりする声が聞こえ、別の方角からはテレビの音声が聞こえる。まさにハワイで暮らす人々の時間の真っただ中にいる気がしました。

行き止まりの路地には、使い込まれて塗装の光沢もなくなったような乗用車が、器用にぎっしり縦列駐車してありました。日本の自家用車といえば、毎週日曜日の洗車場の混雑に見られるとおり、車は丁寧に磨き上げられピカピカのイメージですが、どうもハワイでは違うようです。そういうところに、私は異文化の地にいるという感を強め、ひとり悦に入るのです。

MOMO

  • 2012/02/28 |
  • 10:00 |
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