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その日その時の色

私がまだ高校生だったころ、姉と二人で行った浮世絵の展覧会でのことです。

「あの水色が綺麗、吸い込まれそう」

「え、水色?水色なんて無いでしょ」

「無いことないでしょ、ほら、あの鉢の中」

「あれは緑じゃないの」

「えぇ?!あれはどう見ても水色でしょう?!」

お互いに目をこらして見てみるのですが、相手の言う色にはどうしても見えず、結局両者譲らないままに会場を後にしたのでした。

この体験は、私にとっては衝撃的でした。私が見ている世界と、隣の人が見ている世界は、もしかしたら微妙に違うのかもしれない・・・

姉とはその後も、一枚のセーターをめぐって、ピンクか紫かで意見が分かれたことがあります。

考えてみれば、味覚や嗅覚が人それぞれ違うように、視覚にだって、視力に限らず個人差があって当然なのでしょう。色の感じ方やその表現の仕方は決まりきったものと思っていましたが、実は曖昧で、パーソナルなものなのかもしれません。

また、これは着物を染める職人さんの話ですが、色を作る作業は必ず、朝一番に行うとか。色の刺激を沢山受けた午後では、感覚が鈍るから、というのが理由だそうです。同じ人の中でも、時間帯やその日の体調によって色の感じ方が変わるとするなら、今私が見ている色、感じている色というのは、その一瞬だけのものと言えるかもしれません。

神戸ファッション美術館で開催されている「インディゴ物語 藍が奏でる青い世界」展も、残り1週間程となりました。まだの方は勿論、もう来られた方も、その日その時の青色に、出会いに来られてはいかがでしょうか。

こめこ