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ファッション写真展ガイド

ファッション写真展「女神(ミューズ)たちの肖像」は、55人の著名な写真家の代表作134点。併せて時代をリードした29点のドレス と小物などを500㎡の会場に押し込んだ一大(?)絵巻です。100年におよぶファッション写真を一堂に時系列で見る機会はまれなことで、しかも神戸ファッション美術館の特徴である被写体である生唾ものの衣装も見ることが出来る、一粒で何度も楽しめる展覧会です。

この展覧会の入場前には、20世紀フランスを代表する写真家ベルナール・フォコンの不思議な世界が皆さんを歓迎します。1976年、フォコンは6×6cmの正方形の写真と同時に少年マネキンに出会いました。ここから写真家ベルナール・フォコンはスタートします。好みの服、靴、帽子を被った頭がロウや石膏の古い古いマネキンはとても魅力的でした。フォコンは南仏を中心に1920年代から50年代までの美しいマネキンをコレクションし、そのマネキンと11歳以下の少年を組み合わせて、シュルレアリスム的空間、北方ルネサンス的空間など緻密で真似の出来ない独自の国を創っていきました。それは、ネバーランドと同じ、歳を取らない国であったのですが、王様である彼だけが不老不死ではなかったのです。それに気がついた彼は、彼の国と決別することとなったのです。1991年、フォコンの愛した83体の少年マネキン(実は少女マネキンをいるのです。本展にも2体出品されているので、探してくださいね)は、日本の京都にあるマネキン界の老舗㈱七彩に永久的に籍を移すことになったのです。神戸ファッション美術館の出口の部分に展示している「最後の肖像」という21点の写真が最後に撮影した彼らのポートレイトです。

この83体のマネキンたちは、日本でもとても愛され、コムデギャルソン青山店、宇都宮美術館、近年は同志社大学などでも展示されてきました。似たイメージの作品は皆さんも見たことがあるのではありませんか。今回は本当に特別で、ベルナール・フォコン本人とその代理人たる久保木泰夫氏の要請によって、代表作「家族の写真」(1978年)を2010年の会場にもう一度構築したものです。オリジナルでは30体のマネキンが登場しますが、本展では何と52体ものマネキンが席を同じにしています。78年当時とは、服が違うマネキンもありますが、それでも、出来るだけ当時に近づけるため、一部顔を入れ替えています。この素晴らしい展示は、現在の所蔵者である七彩の造形課の方の仕事です。入口部分が昼の国のフォコン、出口部分が夜の国のフォコン、炎が何とも妖しく美しいです。マネキンだけでなく、ベルナール・フォコンの代表作47点の写真がご覧いただけます。加えてフォコンが選んだ6種類のポストカードが販売されていますので、この機会を逃せばもう二度と手に入らないアイテムなので、是非買って帰ってください。フォコンのマネキンに比べると地味なのですが、「女神たちの肖像」のマネキンの一部は他のマネキンとは違う作りになっています。会場で発見してください。

フォコンのマネキンの素晴らしい写真の全部は、㈱七彩が撮影したマネキン愛満載のものです。この機会にまたとない体験をお楽しみください。

 

(BX-16s)