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原研哉氏をおむかえします

かねてより告知してきましたが、来る9月12日の土曜日、いよいよグラフィックデザイナーの原研哉氏をお迎えして、当館のオルビスホールにてご講演をして いただきます。

タイトルは、《SENSEWARE ―産業の未来を可視化する―》です。

この《SENSEWARE》とは、今年4月にミラノで開催され、1週間で38000人を動員した展覧会です。そしてこの展覧会が、9月18日か ら27日までの間、東京ミッドタウンの21-21デザインサイトで開催されるのです。

この《SENSEWARE》のディレクターである原氏をお招きして、この展覧会にまつわる様々なお話をおうかがいできる機会になると思っています。

私はかねがね、原氏のご著書である『デザインのデザイン』や『白』の読者であったのですが、今回ふとしたご縁(詳細は書けませんが、人と人のつながりの不 可思議を感じるような縁です)によって、当美術館にお越しいただけることとなり、じかにお話を聴くことができるということで、今から大いに期待で胸を膨ら ませています。

この原氏が、『デザインのデザイン』でこんなことを書いてらっしゃいます。

“もしも日本が近代化を「西洋化」という方向で行うのではなく、日本古来の伝統文化に近代科学を受胎させ進化させることができたならば、おそらくは明治維 新を経た日本とは全く異なる、そして西洋に対して向こうを張れるユニークなデザイン文化が生み出せていたのではないかという発想である”

原氏の文章は、最近では大学の入試にも多く採用されている名文ですが、私などはこの“日本古来の伝統文化に近代科学を受胎させ進化させる”というくだりを 読むと、ググッと感じ入るものがあります。

そして、日本の最先端の繊維テクノロジーとデザインの新たなる融合を試みた《SENSEWARE》という展覧会で垣間見せようとしているのが、この“日本 古来の伝統文化に近代科学を受胎させ進化させる”ということなのではないかと思うのです。

そんな原氏の文章のなかで、氏の日本ということに対する捉え方を端的に見ることのできる箇所を、少し長くなりますが紹介します。

“日本の近代史は文化的に見ると傷だらけである。しかし自国の文化を何度も分裂させるような痛みや葛藤を経た日本だからこそ到達できる認識もある。
日本人は常に自身を世界の辺境に置き、永久に洗練されない田舎者としての自己を心のどこかに自覚しているようなところがある。
しかしそれは必ずしも卑下すべき悪癖ではない。
自己を世界の中心と考えず、謙虚なポジションに据えようとする意識はそのままでいいのではないか。
アメリカのように世界の中心に自身を据えるのではなく、むしろ辺境に置くことで可能になるつつしみをともなった世界観。
グローバルとはむしろそういう視点から捉えるべきではないだろうか。
世界を相対化する中で、自分たちの美点と欠点を冷静に自覚し、その上でグローバルを考えていく。
そういう態度がおそらくは今後の世界には必要になるはずだ”

以前、講演会の打ち合わせのために原氏のもとを訪れた際に、お忙しい中にも関わらずエレベーターの前までお見送りいただきました。
その時に、氏から突然「ところで日本はお好きですか?」というご質問を受けました。
私はとっさに「はい」と答えたあと、「好きであるがゆえに心配してしまうところもありますが」と続けたのですが、それを聞いた氏の奥行きある笑みが印象的 でした。

ぜひこの機会に、神戸ファッション美術館まで足をお運びください。

MOMO

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原 研哉 氏 講演会
SENSEWARE—
産業の未来を可視化する

2009年9月12日(土)

入場 無料

受付開場 13:30 ■開演 14:00
終了予定 16:00
定員 400名 (当日先着順)
会場 神戸ファッション美術館 5Fオルビスホール