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ミュージアムショップより Hiromi Kim’s New Product

HIROMI KIMさんの新しいカタチ

白磁のピッチャや12年カレンダーの制作でおなじみのHiromi Kim氏の新商品、Alatus が museum in museum に登場したのをご存知でしょうか。

名前どおりの「翼」を感じさせる、軽やかなフォームのチタン製のお箸です。
100%リサイクル可能な素材チタンの選択は、間伐材利用という本分からこぼれ落ち 今やその9割以上を中国からの輸入に頼っている割り箸文化への、彼女流のしなやかなメッセージに思われます。

               

日本では珍しく感じる金属製のお箸に、「でも、韓国のお箸って金属だもんね。」という感想は当たり前の反応で、さらに作者が韓国系のKim氏と聞けばこれはもう当たり前の二乗です。でも、そのカタチは既に「韓国のお箸って」を超えていて、それこそがthe spirit of Hiromi Kimであり、現在museum in museumのガラスケースに横たわっている理由(Kim氏じゃなくて、お箸が。)なのです。

「韓国のお箸って」なかなか慣れるまで扱い難いものです。が、Alatus はびっくりするほど手に馴染みます。ナムルをつまむ時に親指と人差し指の付け根あたりに感じる、あの違和感は全くありません。更にというか、逆に、クロスに握ると上手くいきません。普通に何気に持っただけで、2本のチタンは美しい平行線を手の中に描きます。Alatusの曲線はまさに用と美のコラボレーションです。

               

「モノ」のカタチは使われ方によって変化し、使われ方は環境によって変化します。
ですから「モノ」のカタチは古来からの、『リ・デザイン』が繰り返し行われたその結果を今に伝えているはずです。
でも、このリ・デザインというのがなかなか時間のかかるもので、不便さを感じてはいてもそれを改良しようという動きにはそう簡単に結びつきません。作り手の意地でしょうか。いや、意外と使い続けてきた人が変えようとしない場合の方が多いように思います。なぜなら、当人達にとっては不便ではないからです。そのカタチはもう文化であり、知恵であり、すでに必然となってしまった「モノ」のカタチの方に合わせて からだの動かし方を工夫する脳が備わってしまっているからでしょう。よその文化を不便だなんて、要らぬお世話の最たるものです。

でも、海外に滞在中、日本的なキャラクター物の付いたお弁当が欲しいというので、韓国系のオーナーの経営するファンシーGoodsのお店に探しにいって不便というか、カルチャーショックを受けた経験があります。
日本のそういう系のショップとほぼ同じ商品構成の店内にまず驚いたものですが、さらに驚かされたのは、ハローキティのお箸には「お箸&スプーン」のセットしかなかった事です。
「お箸のみ」または「スプーンとフォーク」の当たり前なセットが当たり前に欲しかったこちらとしては、結構大きなショックでした。滞在している国の、何を見た時よりもびっくりしました。

トコロカワレバシナカワル。です。それは十二分に承知です。
でも、キティちゃんのスプーンの横で、プラスチックの柄の部分から金属の箸先が出ている、そんなセットしかなかったのです。箸先を引っ張り出す伸縮性のものもありましたが、お箸の横は必ずスプーン、さきっぽは金属。 当然のようにそれしかない。 しかもキティちゃんなのに。。。(たしかモノクロBOOもそうだった。)
でも、ミッキーマウスのおにぎりケースだってアメリカ人には相当インパクトがあるぞ、と言われればそれまでなんでしょう。 ヴァナキュラーなモノの日本の代表格であるおにぎりさえミッキーマウスに押し込める時代だから、キティちゃんが金属製のさきっぽを持っててもいいし、スプーンのお供はフォークじゃなくてお箸でもいいのです。 しかも、それが韓国で売られていて、さらに 遠いところに住んでいる同胞の子供達の所に届けられていて、何の不思議があるでしょう。 実際、BMWのダッシュボードに人工芝が敷いてあるのを日本で発見したドイツ人ほど驚くべき事でもないのでしょう。

               

トコロカワレバシナカワル。
お箸の先っぽだって変わるし、ヴァナキュラーも、その方向性とカタチを変えてゆきます。

多分、韓国でお箸を曲げることは不可能だったと思います。日本のお箸の様に木製ではないのですから、曲げるチャンスはいくらでもあったはずです。
でも、そうしなかった。なぜならそれはもう、必然の文化だから。
でも、韓国系のKim氏は日本に居た。だから出来た。曲げちゃった。

               

日本と韓国にもまれつつユニークな立ち位置で御自分のアイデンティティを俯瞰しておられるKim氏から、またひとつ、しなやかなメッセージの詰まったすてきなカタチが生まれてきたことを歓迎します。
一度ショップで手にとって御覧下さい。

SABU