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講演会「ファッションにみる地域性―江戸時代の場合ー」

先日2月21日は、特別展示「華麗 大正浪漫―渡文コレクションの着物たち―」の関連講演会が開かれました。京都国立博物館名誉館員の切畑健先生に、 「ファッションにみる地域性―江戸時代の場合―」と題して、現代の和装の直接の源流である江戸時代の衣装、小袖についてお話しいただきました。

江戸時代も、町人の生活が豊かになると衣装への関心が高まり、多彩な装飾文様を紹介した、いわばファッションブックとしての小袖ひいな形本が次々に出版さ れました。
江戸時代中期までの雛形本から、御所(京)・江戸・尾張・中国・大坂・町(京)の意匠の地域性を探りました。
今回ご紹介くださったひいな形本は、出版された時期があきらかで、出版者が知られるため、それぞれの時期の人々の美意識や美の先端が集められていることが うかがえます。
和紙に墨で描かれたひいな形の傍らには色名が書き添えられ、白黒の世界にカラーでのイメージが広がります。
また、スライドでご紹介くださった当時の小袖や復元作品と合わせて拝見していると、具体的な色と共に刺繍や友禅染などの細やかな技術、意匠の奥行きが幾重 にも重なりました。
各地の文様、色の好みの変化をたどる中で、重厚から洗練へのデザインの変遷には、京とその他の地域との絵師の感覚に差がなくなり、色・文様ともに差はうか がえないのではないかというお話しが大変印象的でした。それはファッションの本質をしめしていて、もっとも新しものを人々が求めていることにもつながりま す。
また、講演会資料の中のたくさんのひいな形と、切畑先生がお持ちくださった当時の貴重な雛形本からは、江戸時代中期の空気とともに、当時の最先端の小袖が 飛び出してくるようでした。

会場には、お着物でお越しくださった方もたくさんいらっしゃいました。

着物展の関連講演会は、次回3月14日が最終回です。
藤井健三先生に、「大正、昭和初期のモダン着物」と題して御講演いただきます。
展覧会の作品と同時代のお話しです。皆様の御来館をお待ちしております。