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伊豆蔵明彦氏の工房を訪ねました

来月17日から始まる次回特別展示『いのちのいろどり ~自然染織家・伊豆蔵明彦の仕事~』の準備を進めています。今回作品を展示させていただく伊豆蔵氏は、自然染織の作家ですが、同時に株式会社ひなやの会長も務めてらっしゃいます。会社は京都の西陣にあります。昨日、こちらのほうにお伺いして、織りや染めの工房を見せていただきました。

まずは社屋にて打ち合わせです。この社屋は、建築家の高松伸の設計によるもので、この辺りではひときわ異彩を放っています。
打ち合わせのあとは、いよいよ見学です。


社屋の近くにあるこちらの建物が染織の工房です。
1階は染めの工房です。織り上がった布地を後染めします。たくさんの商品はこちらの大きな水槽でまとめて染められます。上下に動かしながらグラデーションに染めていきます。

こちらは染料に使うコガネバナの根です。この根はオウゴンという名で漢方薬に使われたりもします。嗅ぐと清涼感のあるにおいがして、胸のつかえがとれるような心地よさがありました。

伊豆蔵氏が作品を染める時はこちらを使うそうです。こちらのボウルに少量の染液を取り分け、コンロで温度を調整しながら、1点1点染めあげます。

2階に上がると、織りの工房です。ここにある織機は一つとして同じものはなく、すべて伊豆蔵氏の考案によるものです。30年以上前から、伊豆蔵氏は織りや組みといった布の構造に関する研究を重ねて、その成果から複雑な工夫がなされた多くの道具を考案してこられました。それらは非常に複雑な織物を生み出すのです。

こちらの機では、縦方向の糸と左右から斜めに走る糸の計三本が互いに交錯してつくられる三軸構造の布ができます。

織り上がりの布はこのようになります。

伊豆蔵氏は、これらの道具を「人を活かすために命がけで考えてきた」とおっしゃいます。世の中には、器用な人と不器用な人がいます。器用な人は通常の機を使って、効率よくスピーディーに布を織ることができます。ところが不器用な人はそうはいきません。そうすると不器用な人は働く機会を失ってしまいます。伊豆蔵氏は、不器用な人が時間と手間をかけながら、じっくりと焦らず、そのぶん複雑で希少価値の高い複雑な布を織れる道具を考案し、彼らの長所を活かす手段を考えてきたのだそうです。

こうしてこの工房でつくられた作品が徐々に仕上がってきています。
自然の染料に染められた作品はどれも美しく、見ているだけで心が浮き立ってきます。また、絹でできたその手触りは素晴らしいです。ぜひ、また『いのちのいろどり ~伊豆蔵明彦の仕事~』にご来館いただいて、これらの作品の色に楽しみ、手触りに遊んでください。お待ちしております。

MOMO
神戸ファッション美術館

『いのちのいろどり ~自然染織家・伊豆蔵明彦の仕事~』ページ

  • 2008/09/20 |
  • 13:55 |
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