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歌舞伎と隈取り

写楽と豊国展の全作品140点(約300枚)の約半分が役者絵です。
つまり歌舞伎役者の姿を描いたものなのです。役者絵の女性は全部男性です。
男性役者の妖艶な仕草は観客を虜にしたのですした。大奥最大のスキャンダル絵島事件も御承知の通りです。
今回は、歌舞伎と言えば、隈取り。クールジャパンの象徴ともいえる、赤くて、まるでウルトラマンの胸のデザインのような隈をご覧ください。
日本人は根っからヒーロー好きなんですね。
初代市川団十郎がはじめた隈取は今の歌舞伎の代名詞です。

写楽と豊国 江戸の美と装い 役者絵

 

●歌舞伎と隈取(くまどり)り

歌舞伎といえば、まず真紅の隈取りを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
隈取りとは、歌舞伎の化粧の中でも、荒事(あらごと)(『荒武者事』の略。初代市川團十郎が創始とされる)のための特別な化粧法です。隈という言葉は、ものの陰やくぼんで見えにくい部分を意味しており、「隈を取る」とは顔の凹凸、つまりは骨格や筋肉を強調する化粧法だといえるでしょう。
一口に隈取りといっても、その種類は優に100を超え、形も色彩も多種多様です。
しかしながら、そこに共通する印象は、躍動するような民衆の生命エネルギーに根ざした奇抜な意匠の美だといえます。たとえば隈取りの代名詞ともいうべき筋(すじ)隈(くま)は、血のようにみえる紅色が憤怒の表情を際立たせ、グロテスクなまでに荒々しい野生の力と洗練された感覚的な美とが見事に融合しており、歌舞伎の魅力の重要な役割を担っています。

写楽と豊国 江戸の美と装い 隈取

●隈取の色

歌舞伎の化粧の基本は、白粉と紅と墨と青黛です。それに茶墨と砥の粉が加わり、隈取りもこの組み合わせが使用されます。
歌舞伎の化粧を考えるとき驚かされるのは、そのごく初期から現在にいたるまでの数百年の変遷の歴史を通じて、この白・赤・青・黒・茶という単純な色の組み合わせがほとんど変わっていないことです。白・赤・青・黒・茶という色感は、歌舞伎の基本色感であるだけでなく、日本人がもつ古代から一貫した色感です。
歌舞伎はつねに感覚的な色彩美と色の官能性の追求に余念がなかったのですが、白・赤・青・黒・茶という古代からの単純な色感にこだわり続けてきたのは、日本人の意識下にひそむ色の宇宙論的・象徴的意味性に対して本能的ともいえる感覚をもち続け、かつそれを演劇言語として重視してきたからではないでしょうか。例えば赤(紅)は生命力・陽性な稚さ・向こう見ずな荒々しさ・熱・血気を表し、青(藍)は逆に死・陰鬱な冷血さ・内向的な恨み・陰湿な悪・怜悧・陰謀などを表します。
白は天上的なもの・高貴さ・美・若さ・上品さ・善を表し、黒は未明のカオス・恐怖・不気味さを、茶色は土俗的なもの・地霊・土着の神・卑しきものを表します。こうした色の象徴性が化粧や隈取りに半ば意識的に用いられたところに、歌舞伎の独特な面白さがあるのではないでしょうか。

 

(BX16S)

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