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三代澤本寿とモサラベ

三代澤さんは1970年頃(60歳頃)より晩年まで本当に何度も何度も海外に出かけています。そこでのさまざまな文化と驚くような作品に出会い、その影響は本展で皆さんにじっくり見ていただけると確信しています。

 私は学生時代スペイン絵画を専攻したもので80年よりスペインを中心に海外旅行するようになった上に、直ぐに美術館で働くようになったこともあり、芸術や染織品の研究で訪ねた国々が三代澤さんの旅と見事に重なっています。そんなこともあり彼の足跡、収集品には無関心ではいられません。中でもスペインや隣国(?)のモロッコ作品はとても興味が有ります。

 

彼の代表作である「モサラベ」とは、イスラム統治下のイベリア半島におけるキリスト教徒の呼び名であり、イスラム支配は8世紀よりレコンキスタによる1492年のグラナダ陥落まで続きました。モスリムとモサラベとの距離感はそれぞれの王朝によって異なりましたが、それでも現在のスペインが2つの文化の融合によって成り立っているのも事実です。グラナダのアルハンブラ宮殿やセビーリアの建築物などのイスラム建築は今もスペインそのものであるし、ガウディのタイル使いにもイスラムの影響を見ることができます。そんな複雑な魅力に三代澤さんも引かれたのではないでしょうか。

 三代澤本寿のモサラベもとても不思議な美しさを醸し出す作品で、鑑賞時に聞こえてくる音楽はモダンなロドリーゴのアランフェス協奏曲が似合っていると思いますが、皆さんはいかがでしょうか。もっと中世的な響きのリュート作品が合うのでしょうか。

(BX-16S)

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